曲がりかどマガジン

東京でのんびりOL、とうとつに進学。

ふたたび学生へ(回顧録風)

今年の夏から、また学生になる。

イギリスにある大学院で、文芸翻訳を学ぶ予定だ。

 

思い返せば、英語が好きでずーっと留学したかったのに、怠惰で、物事を先送りにする割に先見の明が無い人間であるために、これまでの人生で何度もチャンスをふいにしてきた。

 

演劇部の活動に割と体を張っていた高校時代、映画・舞台美術学科にあこがれて、アメリカの大学へ進学を考えてみたものの、授業についていけないのではと土壇場でビビり、ボツ。

結局ぬるっとエスカレーター式に進学・上京。

合唱サークルと演劇部を掛け持ちし、活動に注力する日々を送る。

それに加えて初めての彼氏もできちゃったりなんかして、「1か月の語学留学ぐらいならいいけど一年とか離れるのは長い」って言われたからぁ~、とか、でも1か月やそこらの語学学校行くのとかちょっとダサいしぃ~、とか、下の学年と一緒に就活するのとか勝手がわからないからやだしぃ~、とか、そういう細々としたどうでもいい理由で、大学在学中はひたすらセツナをエンジョイして生きていた。バイトはサンドイッチ屋さんだった。

 

学部後半では「100年に1度」と言われた就職難の年もなんとかクリアし、無事内定ゲット。

(ただし、この翌年以降もさらに状況が悪化したのは周知の事実。今なんてもう1億年に1度ぐらいの氷河期じゃなかろうか。私なら即死だ。)

この時に、外国の大学院に進学するというオプションもあった。しかしこれまた、「進学は就活負け組」という謎の空気が大学を支配していたため、あっさり世間体に屈しボツ。

(関係ないけど、私の卒業した高校では、「ハワイ大学行った」が、受験失敗→浪人の隠語だった。ギャルギャルしい派手な先輩がいたとして、そういう人は割と白い目で見られていて、成績もよろしくないと思われているので、その人がハワイ大学に行ったらしいという噂が流れると、皆同情的な反応をする一方で、「やっぱりね」と満足気にしていたりした。恐ろしい場所だ。)

あと、親からよく「毎年学費に100万かけて、東京にも出したんだからちゃんとしたところに就職しろ」と言われていたので、就職せずさらに進学して親に負担をかけるという選択肢ははなから無かったとも言える。

 

あれこれ言い訳してみたが、英語が分からなくて1年泣き暮らしたところで、大学は残り3年もあるのだし、飛び込んでみれば何とかなったのだ。

学部卒業後の進学だって、あれが自分でお金の苦労をせずに海外に行けるラストチャンスだったのだ。親に言われていたことだって、私の被害妄想が入っていたかもしれないし、頼めば別にどうとでもなったかもしれないのだ。後悔は尽きない。

 

そうこうして卒業後、幸いはやりのブラック企業に引っかかることもなく、のんびりOLライフを始める。

初めこそ、帰国子女の美女なお嬢揃いの同期に気圧され、「エラいところに来ちまっただ」と思ったけど、ビルやオフィスはきれいだし、同僚はみんないい人だし、おいしいご飯もたくさん食べさせてもらって、なんか仕事も向いてるみたいだし、と、不自由のない生活を送っていた。

そんなある時、高校の同級生が仕事で東京に来るというので、晩御飯を一緒に食べることになった。

思い出話を交えながら和気あいあいと食事は進み、それからお互いの仕事の話をするうちに、私がぬる~いOLライフを送っているさまが引っかかったのか、最終的には「翻訳家になると思ってた、がっかりした(意訳まとめ)」と言われ、「な、なに勝手に期待かけてがっかりしとんじゃー!わしの人生わしのもんじゃ!」と激高したものの(昔から周りの期待に敏感な子供だったので、「がっかりした」系ワードは地雷なのである。この悲しい話はまた今度)、「そうだわ・・・俺高校時代そんなこと言ってたわ・・・意気揚々と校内のハリーポッター翻訳コンテストとか応募してたわ・・・」と、図星ならではのショックをうけ、帰宅。

 

この出来事をきっかけに、頭の片隅に追いやっていた「留学」を、また真面目に考え直すことになる。

こうしてみると結局他人の期待に応えただけのような気もしてくるが、そこは結果オーライということで。(適当)

 

 2012年に、とりあえずじゃあ2014年進学目標で!と、わけもわからず適当に目標を設定し、貯金をスタート。

合唱や演劇も続けつつ、2年はあっという間にすぎ、2013年年末~2014年年始に出願を終え、2月、3月に合格通知をもらい、今に至る。

 

備忘録や、これから留学を考えている社会人の方々の参考になればいいなという気持ちで、出願準備~合格までの流れはまた別で詳しく書こうと思う。(私自身、色んな方のブログならではの生身の情報にずいぶん助けられた。)

 

この不景気のさなかに退職する実感も湧かない上に、一度も行ったことのないヨーロッパにいきなり住むという事実も、考えるにつれ狂気の沙汰でしかないように思えてくる。

キャンパスの原っぱにわんさかわくという、まだ見ぬ野うさぎたちだけが今の心のなぐさめである。